2018年9月7日から全国ロードショーが決定している、NHK教育番組の長寿番組「おかあさんといっしょ」。
公開までまだ半年もありますが、今から全国のおかあさん達はワクワクを抑えきれない様子です!
映画タイトルは『おかあさんといっしょ はじめての大冒険』
今回が初の映画化ということになったわけですが、それにはどういった理由があるのでしょう。
おかあさんといっしょの時代背景を振り返りながら、その解決の糸口を探ります!
映画化される理由とは
そもそもなぜそのような長寿番組が今更映画化されることになったのでしょう。
それには時代背景の移り変わりに関係があるようです。
「おかあさんといっしょ」の放映開始の時代背景
おかあさんといっしょは実に60周年(1959年放送開始)を迎えるNHKの冠番組です。
NHKが開局したのが同年の1959年ですから、まさに開局してから現在までずっと放送している長寿番組なんです。
1959年とは、あの昭和のスター「山口百恵さん」や名女優である「田中美佐子さん」が生まれた年!
更には、「少年サンデー」や「少年マガジン」が創刊された年でもあります!
終戦から日本が立ち直り、テレビや漫画などの文化が人々の生活に再び賑わいをもたらし始めた、そんな貴重な年なのです。
初期のキャラクター「ブーフーウー」
初期のおかあさんといっしょのキャラクター「ブーフーウー」。
登場した期間は、「1960年9月5日~1967年3月28日」の6年半ほど。
この人形劇の声を担当していたのが、なんと「大山のぶ代さん」や「黒柳徹子さん」ということですから驚きですよね!
もちろん当時のおかさんといっしょの中でも、一番人気のあるコーナーでした。
これまで放映してきた「おかさんといっしょ」でも、人形劇のコーナーは不動の人気がありました。
「8代目:じゃじゃまる・ぴっころ・ぽろり」だったり、
「10代目:ぐ~チョコランタン」だったり。
今こうしたキャラクターが大人気のもと現在も続けていられるのも、人形劇の元祖「ブーフーウー」の大成功が陰にあるのです。
子供にとって人形というものは、生まれてからすぐそばにある最初のおもちゃです。
その一番なじみのある人形が、テレビでも子供の目で追うことができる範囲のシンプルな動きで劇を演じる、これが子供に受け入れられた一番のポイントになるのでしょう。
では何故今映画化なのか?
そのような長い年月を経て、何故2018年に映画化がされるようになったのでしょう。
作成者は次のように話しています。
今度は『映画館』という新しいステージで、子供たちの笑顔、そして元子供たちの笑顔に出会えたらうれしいです。
~古屋光昭プロデューサーのコメント
自分の子供が『映画館で初めて見る映画は何になるのだろう?』と思いました。私自身も子供のころ夢中になっていた国民的なこの番組を映画として作ることにより、映画館という空間だからこそできる体験を子供たちに味わってほしい、その様子を親御さんに見守ってほしいと思っています。なにより私自身、その時が楽しみでしかたがありません。
~高橋信一プロデューサーのコメント
「映画館」での上映ということに対して、この2人のプロデューサーは思い入れが強いようです。
この2人のプロデューサーのコメントより次の2つの理由が考えられます。
映画化の理由①:より多くの方に楽しんでもらうため
今までのおかあさんといっしょの舞台は、劇場に実際に歌のおにいさん・おねえさん、人形たちがやって来てショーをするスタイルが一般的でした。
その臨場感や、開場全体でその場を盛り上げる一体感は、見ている子供やその親までもその世界に引き込みます。
いっしょに歌って踊れる、それが劇場スタイルの一番の魅力です。
ただし、その公演に限界があることは容易に想像できます。
劇場には「歌のおにいさん・おねえさん」の存在が不可欠です。
その2人が日々のテレビの収録をこなしながら、週末には日本全国をまわって劇場を走り回る。
スケジュール的にも体力的にも、かなり無理があるといえるでしょう。
最も公演が多い東京ですら年間2~3回ほど、残りは地方数箇所を1回ずつ点々と回ることしか出来ないのです。
更には、劇場のキャパシティの問題もあり、満員になれば入場したくても入ることが出来ません。
今の劇場スタイルでは、これ以上のファン獲得が難しいのが実情なのです。
「子供に舞台を見せてあげたいけど、公演場所が遠くて無理かな」
「劇場には行きたいけど、日程があわないし」
そんな悩みを解決するのが、みんなの街にある『映画館』なのです。
映画化の理由②:子供の成長のため
みなさんは映画館で初めて映画を見たときのことを覚えていますか?
私はたしか宮崎駿監督のジブリ映画を見たのが最初だったと思います。
照明が落とされた後のほの暗い雰囲気と、心臓が飛び上がるほどの大音量。
あのドキドキ・ワクワクした思いは今でも忘れることはありません。
そして目の前にあるのは、大きなスクリーンに映し出される映像のみ。
この環境の中で、小さな子供が1時間半~2時間近くジッとしていなければならないのです。
子供にそれをさせることが出来る映画というものは、やはり「いい映画」ということになると思います。
そして子供が映画を全部見終わることが出来たとき、子供はひとつの達成感を覚えることでしょう。
その姿を見た親は、きっと一回り大きくなった子供の姿を目の当たりにするに違いありません。
「その子供が成長した姿を、是非この映画で最初に感じて欲しい!」
そうしたプロデューサーの思いがヒシヒシと感じられます。
もちろん今回の映画では、色々な仕掛けがあるようなのでズッと動かずというわけではないと思いますが、それでも長い時間その環境にいるということは子供の成長を後押しすることに繋がるのです。
まとめ
1959年に、低年齢児の情緒や言葉、体の発達を促すために始まった「おかさんといっしょ」。
開局から現在に至るまで途切れることなく放送され、今年で60周年を迎えます。
記念すべき初の映画化。それには大きな意味がありました。
これからも長寿番組として続けていくためには、もちろん今まで通りというわけにはいきません。
劇場でのショーだけでは、多くのかたに楽しんでもらうことは出来ません。
もっと不特定多数の方に肌で感じてもらうには「映画」という手法が必要だったのです。
住む街に存在し、小さな子供の手を引っ張って行くことが出来る距離にある映画館。
そこでショーを楽しむことで垣間見える子供の成長。
これこそが「おかあさんといっしょ」が今現在求める、番組像なのかもしれません。