『ギブソンが倒産するかもしれない。』
2018年の2月19日、そんなニュースが今巷を賑わせています。
ギブソンを知らない方も多いとは思いますが、全国の音楽ファン、そしてバンドマンにとってはまさにこれは世界がひっくり返るような大きな事件であるといえます。
そのニュースの内容と、今までGibson社が残してきた功績をたどっていきます。
ギブソン倒産危機のニュース
しかしなぜ、いきなりこのような「ギブソンが倒産するかも」という話が拡散したのでしょうか。
それは、ギブソンが本拠地として構えている「アメリカ・テネシー州ナッシュヴィル」の『ナッシュヴィル・ポスト』などが次のように報じたからです。
「年間10億ドル(約1060億円)以上の収入のある、ナッシュヴィル拠点のこの楽器メーカーが直面している状況は正常とはかけ離れています。CFOのビル・ローレンスは1年を経たずして会社を離れており、6ヶ月後には3億7500万ドル(約400億円)の担保付き上位債が支払期日を迎えます。それに加え、2013年に借りたこの債権が7月23日までに解消されない場合、さらに1億4500万ドル(約155億円)の銀行ローンも支払期日を迎えるのです」
~Nashville post(現地時間:18年2月9日配信)
なんということでしょうか。
おおよそ400億円という大きな資金の返済が差し迫ってきているというのです。
さらにそれが解消されなければ、さらに155億円の銀行ローンの支払いも発生するという、まさに緊急事態なのです。
これは日本のみならず、全世界のギターファンを驚愕させている事実と言えるでしょう。
ギブソンは今後、楽器等によるオーディオ事業よりも、2014年に買収したPhilips~フィリップス~のオーディオ・エンターテインメント事業に注力して負債を減らしていく方針とっています。
建て直しがうまく計れることを、いちファンとして強く願っています。
ギブソン社の始まり
ギブソンについてあまりご存知ではないかたも多いと思いますので、簡単に説明をさせて頂きます。
ギブソンとはアメリカの有名ギターメーカーのひとつです。
創始者は『オービル・ヘンリー・ギブソン』
1902年10月10日にアメリカ合衆国ミシガン州にて会社を設立します。
職人であったオービルのマンドリン製作が始まりでした。
1902年創業ということですから、実に創業から100年以上のキャリアをもつ、老舗中の老舗といえます。
この長い遍歴の中で、これまでに様々な種類のギターをこの世に排出しています。
今では「Fender社」と並ぶ『二大ギターメーカー』として、音楽界に大きな功績を残していることは、誰しもが認める周知の事実なのです。
ギブソンのギターラインアップ
ギブソンは本当に様々なギターをこの世に輩出してきました。
そのどれもが、個性を放ち魅力的なサウンドを奏でるものとして、多くのミュージシャンに支持を得る結果となったのです。
そのギターの種類とともに、ギブソンの歴史を振返っていきましょう。
Les Paul ~レスポール
ギブソンの最高傑作ともいえる「レスポール」。
ギターを志すキッズの中でこの名前を知らない人はいないのでは?というほどの、ギブソンの代名詞とも呼べるモデルです。
1952年にギブソン社がギタリスト「レス・ポール」と共同開発をしたこのモデルは、エリッククラプトンやジミー・ペイジを始め、多くの有名ギタリストをも魅了する最高傑作となったのです。
分厚いマカボニー材から生まれるサウンドは激太であり、ハードロックよりも重いヘヴィなミュージックシーンにも広く活躍しています。
Les Paul SG ~エスジー
1960年にレスポールのモデルチェンジとして生まれたギターです。
レスポールと違うのは、ダブルカッタウェイといってネック(ギターの首)の両側をカーブでカットした形状をしている点です。
ボディもレスポールに比べ薄い仕上がりになっています。
かつてレッド・ツェッペリンのギターリスト「ジミー・ペイジ」が二連のSGギターを奏でる様は、多くのギターキッズを魅了しましたね。
また、後にAC/DCのアンガス・ヤングがメインギターとして扱うことで、その知名度は急上昇しました。
ただこのギターの製作当時、共同開発したレス・ポール自身は、このSGモデルが気に食わなく、一時ギブソンとの契約を解約したとか。
音楽に携わるもの、みんなこだわりが強いですからね!
フライングV
この見た目から分かる通り、まさに変形ギターの先駆け的名存在といえます。
それもそのはず、1985年にエクスプローラーと共に製作されましたが、あまりの形状の奇抜さから翌年には生産が取りやめられたギターです。
実際にその2年間で発売された「フライングV」は98本のみだったようです。
ただし、1960年以降、アルバート・キングやマイケル・シェンカーなどが使用をし始めると、多くのギタリストの中で話題となり市場に多く出回るようになります。
そしてその特異な形状から、ヘヴィ・メタルのサウンドにもよく使われるようになりました。
ES-335
1958年に発売された「ES-355」。
その最大の特徴は、ボディの中身が空洞(ホロウ)とソリッドの中間になっていることです。
そのため、セミアコースティックギターと称されることも多いのです。
甘く、そしてサステインのあるサウンドから、ジャズやブルースロックなどにも広く活用されるギターとなりました。
B.B.キングやラリー・カールトンといった、スゴ腕ギタリスト達のサウンドを支えてきた秀逸なギターなのです。
まとめ
正直文面には書き表せないほどの魅力が、ギブソンのギターには詰まっています。
これまで「ギブソンのことはあまりよく知らなかった」という人も、こちらのサイトから「あ、このギター見たことある!」っていう発見に至っていただけるだけでも幸いです。
今までも、そしてこれからも世界のロックシーンを作っていくであろうギブソン社。今回の試練を乗り越えて、まだまだ末永く音楽界に携わっていて欲しい!!